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397:名無しさん@お腹いっぱい。 / :
薮田は実在しない。
薮田とは、面白い試合を、園川一美に劣らないまったりした投球を見たいと望むロッテファンの間で、
自然発生的に生まれた理想のピッチャーである。
はじめはジョークに過ぎなかった。
薮田はこの世のどこかにいるはずの理想のピッチャーだった。
しかしそれは当時のまさにヘタレと呼ぶに相応した中継ぎ投手陣にウンザリしていたロッテファンの間
で瞬く間に広まって行った。
薮田ならこう投げた。薮田のあの投球は良かった。
ロッテファンはそうやって、少しずつ理想のピッチャー薮田のイメージを固めていった。
彼はベテラン入り口でハァハァできる投手である、彼こそは憎きLやHを抑えこめるピッチャーである、
彼はぬるいカーブでのらりくらり打者を打たせてとるヒーローである、
そして彼は親しみやすいことに、ロッテの選手らしい地味フェイスなのだ!
薮田はこうして、ロッテファンの理想のピッチャーのイメージのコラージュとして生まれたのである。
ロッテファンは薮田を欲した。故に薮田は存在するのである。
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