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594:名無しさん@お腹いっぱい。 / :
我々は薮田が何故このようなピッチングをしたのかという疑問を解決するため、
薮田の第二の故郷である埼玉県に向かった。「まだ日本にこんなところがあったのか…」
思わず口に出てしまった言葉を同行した友人に失礼だと咎められた。
工場廃水の臭いが漂う粗末な球場、ツギハギだらけのユニフォームを着る選手たち、
そして彼らは余所者で身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。
ボビー就任だの、黒木復活だの、法被ユニだので浮かれていた我々は改めて
浦和の現状を噛み締めていた。ボロ屑のようなベンチに居たのは老いた監督一人
我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに「薮田が申し訳ありません」と
我々に何度も土下座して詫びた。我々はこの時初めて薮田を許そうと思った。
誰が悪い訳ではない、浦和の貧しさが全て悪かったのだ。我々は古賀監督から
もらったコアラのマーチを手に、打ちひしがれながら幕張へと帰路についた。
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